Classici giapponesi con furigana
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みやもとむさし
宮本武蔵(五)
吉川 英治
Leggi 宮本武蔵(五) (みやもとむさし) di 吉川 英治 (よしかわえいじ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 508.883 caratteri · 1017 schermate
五
江戸の麻布の山まで来ると、人家は稀れで、わずかに、彼方此方の谷底に、田や畑や農家の屋根が、点々と見えるに過ぎない。
遠いむかし、この辺りは、麻生う里とも、麻布留山とも称ばれ、とにかく麻の産地であったそうだ。――天慶年中、平将門が、関八州にあばれた頃は、ここに源経基が対峙していたことがあり、またそれから八十年後の長元年間には、平忠恒が叛乱に際し、源頼信は征夷大将軍に補せられて、鬼丸の御剣を賜わり、討伐の旗をすすめて、ここ麻生う山に陣を張り、八州の兵をまねき集めたともいい伝えられている。
「くたびれた……」
一息に上って来たので、伊織はつぶやきながら、芝の海や、渋谷、青山の山々、今井、飯倉、三田、あたりの里を、ぼんやり見廻していた。
彼のあたまには、歴史も何もなかったが、千年も生きて来たような木だの、山間を流れてゆく水だの、ここらの山や谷のたたずまいは、麻生う往古、平氏や源氏のつわもの輩が、野に生れた道の――武家発生の故郷だった時代の景色を――何とはなく感じさせるものが、まだ残っていた。
どーん
どん、どん、どーん
「おや?」
どこかで太鼓の音がする。