Classici giapponesi con furigana
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みやもとむさし
宮本武蔵(五)
吉川 英治
Leggi 宮本武蔵(五) (みやもとむさし) di 吉川 英治 (よしかわえいじ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 508.883 caratteri · 1017 schermate
五
母の妙秀尼も案じるので早く帰してくれるように、今も吉野太夫へ手紙を遣わして、頼んでやったところです――という彼の話なのである。
五
「ホ。……では武蔵とやらいうあの夜の男は、あれきり吉野太夫の許から帰って来ぬのか」
光広は聞いて眼をみはった。
半ばは、意外なこととして、半ばは軽い嫉妬も手伝って、大仰にそういったのである。
沢庵は城太郎のてまえ、多くをいわなかったが、ただ、
「あれもやはり、平凡な、つまらん人間でしかないとみえる。とかく若いうち天才らしく見える者ほど、行く末当てにならないものだ」
「したが、吉野も変りものじゃなあ。――どこがようて、あんな穢い武骨者に」
「吉野にせよ、お通にせよ、女の気心のみは沢庵にも解しかねる。わしの眼からは皆ひとしい病人としか思えぬが、武蔵にもそろそろ人間の春が訪れて来たのでござろう……これからがほんとの修行、危ないのは剣よりは女子の手だが、他人の力でどうなるものではなし、抛っておくしかあるまいて」
独り言のように呟いてから、沢庵はふと旅の空へ心を急ぎ、光広へ向って、改めて別れを告げた上、なお当分の間ではあるが、病中のお通と、城太郎の身とをくれぐれも館に託して、それから間もなく烏丸家の門を飄然と出て行った。