Classici giapponesi con furigana
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みやもとむさし
宮本武蔵(五)
吉川 英治
Leggi 宮本武蔵(五) (みやもとむさし) di 吉川 英治 (よしかわえいじ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 508.883 caratteri · 1017 schermate
五
と提燈を縁において、使いの僧はふところから一通の書付をとり出し、
「何やらぞんじませぬが、黄昏れ頃、寒々とした風態のお若い牢人が堂の内をのぞいて――この頃は作州のお婆は参籠に見えぬかと問われますゆえ、いや折々お見えでござる――と答えますと、筆を貸せといい、婆が見えたらこれを渡してくれといって立ち去りました。――ちょうど五条まで用達に出かけましたので、早速、お届けにあがったような次第で」
「それは、それは、ご苦労さまな」
と婆は人ざわりよく敷物などすすめたが、使いの僧はすぐ戻って行った。
「……はてのう?」
行燈の下で婆は手紙を繰りひろげた。顔いろが変ったところを見ると、なにかその内容が婆の胸を烈しく揺りうごかしたものと見える。
「お通っ……」
「はい」
と、小部屋の隅の炉ばたからお通が答える。
「もう茶など注いでも無駄なことじゃ。子安堂の堂衆は帰ってしもうたがな」
「もうお帰りになってしまいましたか。それでは、お婆様に一ぷく」
「人に出しそびれたのでわしへ振向けておくれるのか。わしの腹は茶こぼしではないぞえ、そのような茶、飲みとうもない。それよりすぐ支度しやい」