Classici giapponesi con furigana
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みやもとむさし
宮本武蔵(五)
吉川 英治
Leggi 宮本武蔵(五) (みやもとむさし) di 吉川 英治 (よしかわえいじ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 508.883 caratteri · 1017 schermate
四
武蔵はすぐ、枕の下の刀を握った。すると、隣の部屋から、
「お客さん、まだ寝つかれないのかい?」
四
どうして自分が起きたのを、隣の部屋で知ったろうか。
童子の敏感に愕きながら、武蔵は、その答えを外して、斬り返すように、此方からいった。
「この深夜に、なんで其方は、刃物など研いでいるのか」
すると少年は、げらげら笑いながら、
「なアんだ、おじさんは、そんなことに恟々して、寝つかれなかったのかい。強そうな恰好をしているけれど、内心は臆病なんだなあ」
武蔵は、沈黙した。
少年の姿を借りた魔魅と、問答でもしているような気持に打たれたからである。
ごし、ごし、ごしっ……と童子の手はまた、砥石のうえに動いているらしい。不敵な今の言葉といい、砥を揺する底力といい、武蔵はいぶからずにいられなかった。
「……?」
で、板戸の隙間から覗いてみたのである。そこは台所と、蓆を敷いた二坪の寝小屋になっている。
引窓から白い月明りが映しこんでいる下に、童子は、研桶を据え、刃渡り一尺五、六寸の野差刀を持って、一心に刃をかけているのであった。
「何を斬るのか」
隙間から武蔵がいうと、童子は、その隙間をちょっと振向いたが、一言も発せず、なお懸命に研いでいる。