Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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みやもとむさし

宮本武蔵(五)

吉川 英治

Leggi 宮本武蔵(五) (みやもとむさし) di 吉川 英治 (よしかわえいじ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 508.883 caratteri · 1017 schermate

Aozora Bunko

二

「そこは、お菰の十郎だ、抜け目はねえ。野郎と別れるふりをして、横丁にかくれ、後を尾行てゆくと、ばくろ町の旅籠でわらじを脱いだ」

「ウウム、ではこの大工町とは、まるで目と鼻の先ではないか」

「そう近くもねえが」

「いや近い近い。きょうまでは、諸国をたずね、幾山河を隔てている心地がしていたのが、同じ土地にいるのじゃもののう」

「そういやあ、ばくろ町も日本橋のうち、大工町も日本橋の内、十万億土ほど遠くはねえ」

ばばは、すっくと立って、袋戸棚の中をのぞきこみ、かねて秘蔵の伝家の短い一こしを把ると、

「お菰どの、案内してたも」

「どこへ」

「知れたことじゃ」

「おそろしく気が永げえかと思うとまた、怖ろしく気が短けえなあ。今からばくろ町へ出向く気か」

「おいの。覚悟はいつもしていることじゃ。骨になったら、美作の吉野郷、本位田家へ骨は送ってくだされ」

「まあ、待ちねえ。そんなことになったひにゃあ、折角、耳よりな手懸りを見つけて来ながら、おれが親分に叱られてしまう」

「ええ、そのような、気遣いしておられようか。いつ武蔵が、旅籠を立ってしまわぬとも限らぬ」

「そこは、大丈夫、すぐ部屋にごろついているのを一匹、張番にやってある」