Classici giapponesi con furigana
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みやもとむさし
宮本武蔵(五)
吉川 英治
Leggi 宮本武蔵(五) (みやもとむさし) di 吉川 英治 (よしかわえいじ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 508.883 caratteri · 1017 schermate
二
無賃じゃいかねえぜ」
「よしよし、飼料をつかわそう。――だが、その賃さえ払えば、この牝牛は、どこまで曳いて参ってもよろしいのか」
「金さえ払えば、どこまで乗って行こうと、かまわねえさ。三百里先へ行こうと、道中の宿場問屋に渡しておいてさえくれれば、下りのお客が荷物を積んで、いつか大津の問屋小屋へ帰えって来ることになっているんだから」
「では、江戸表まで、いかほど払ったらよいのか」
「じゃあ、通り道だ、問屋場へ寄って、お名前を書いて行っておくんなさい」
なにかの支度にも好都合、武蔵はいわるるままにそこへ立ち寄る。
問屋場は打出ヶ浜の渡口場に近かった。船着きから上がる者、乗る者、ここは旅人の屯なので、草鞋をひさぐ店もあるし、旅の垢を落したり髪を整える備えもある。武蔵はゆっくり朝飯をすまし、まだ、早過ぎるとは思ったが、間もなく、牛の背の人となって、その問屋場から再び先へ立って行く。
瀬田はもう程近い。
湖畔のうららかな風光を、牛の足にまかせて行っても、大丈夫、午までにはそこへ着く。
(まだ、来ていまい)
武蔵はそう思い、そして、今度お通に会うことには、なにかしら心に安んじるものを抱いていた。