Classici giapponesi con furigana
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みやもとむさし
宮本武蔵(五)
吉川 英治
Leggi 宮本武蔵(五) (みやもとむさし) di 吉川 英治 (よしかわえいじ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 508.883 caratteri · 1017 schermate
五
五
「はい、畏りました」
と、城太郎は神妙である。
この使いさえ済めば、武蔵はここを出て、お通さんの所へ来てくれるものと思い、それを楽しみに、
「じゃあ、行って来ます」
先方へ返す小袖羽織を風呂敷につつみ、べつに、武蔵から光悦へ宛てて書いた一通もその間へ挟んで背中へ負いかけていると、そこへ夜食を運んで来た以前の引船が、
(オヤ、どこへ)
と、眼をみはって武蔵からその理を聞くと、
「まあ、飛んでもないこと」と、固く止めた。
なぜならば――
と引船が武蔵へ話す。
この子は夕方に、扇屋の店先で、店の若い者を、がらにもない木刀で撲りつけ、打ちどころが悪かったとみえて、その男は床についてうんうん唸り通している。
遊廓の喧嘩だから騒ぎはそれきりで済んでいるし、吉野様からお内緒へも若い衆へも、そっと、内済にと口をきいてはあるが、その子がやたらに、宮本武蔵の弟子だと威張りちらしたので、誰の口からともなく、武蔵はまだ扇屋の奥にかくれているという噂が宵からひろがり、それが遊廓の総門の外に、先ごろから網を張っている吉岡方の者へも聞えているらしい。
「……ははあ」
と、武蔵は初めて、そんな事件を知ったように、城太郎の姿を見直す。