Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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みやもとむさし

宮本武蔵(五)

吉川 英治

Leggi 宮本武蔵(五) (みやもとむさし) di 吉川 英治 (よしかわえいじ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 508.883 caratteri · 1017 schermate

Aozora Bunko

二

(又八が可愛い)

という以外の何ものでもない。その他に原因はないのだ。盲愛から生じた誤解であり、誤解から生じた執念でしかないのである。

淡い幼少の夢の中にしか母を知らない武蔵には、痛切にそれが分る。羨ましくてならないのだ。あの婆に罵られ、迫害され、謀られて、一時の憤怒から醒めた後では、かえって胸を噛まれるほど孤愁の身にそれが羨まれた。

(――だから、婆の呪詛を和らげるには?)

と、武蔵は今、又八の姿を見ているうちに胸の中で、独り問うて独り答えた。

(この息子が、偉大になってくれればいいのだ。武蔵以上の人間になり、俺を見返して、郷人に誇ってくれたら、婆は、おれの首を討った以上、本望と思うだろう)

そう考えると、彼の又八に抱く友情は彼が剣に対するように、彼が観音像を彫る時のように、燃え上がらずにいなかった。

「なあ、又八。おぬしは思わないか」

その真実が、彼のことばを、友情の裡にも荘重にして、

「あんないいおふくろを持って、おぬしはなぜ、あのおふくろに、欣し涙をこぼさせてやろうとはしないのだ。親のないおれから見ると、貴様は、勿体なさすぎるぞ。勿体ないということは、親を尊敬しないということじゃないのだ。