Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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みやもとむさし

宮本武蔵(五)

吉川 英治

Leggi 宮本武蔵(五) (みやもとむさし) di 吉川 英治 (よしかわえいじ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 508.883 caratteri · 1017 schermate

Aozora Bunko

五

「――ぎゃっ」

と、ただの肉声ではない。直に他人の生命へもひびいて、ぞっと戦慄を覚えさせるような悲鳴が走った。

五

――しまったっ。

と、小次郎は抛り上げられたように、腰かけていた店框から突っ立った。

――こっちの策は破れた!

いや、策のウラを掻かれた!

武蔵はいつのまにか、裏口から戸外へまわり、お杉ばばや、菰や、お稚児や、手易い者へ先に挑戦して行ったらしい。

「よしっ、その分なら」

彼は、闇の往来へ、ぱっと躍り出した。

時は来た!

と、思う。

体じゅうの肉がぎゅっと緊りながら、血ぶるいするように闘志がいきり立つ。

(いつかは剣を把って会おう)

それは叡山から大津越えの峠の茶屋で、別れに誓ったことばである。

忘れてはいない。

その時が来たのである。

たといお杉ばばは返り討ちになっても、ばばの冥福には自分が武蔵の血をもって供養してやろう。

――と瞬間、小次郎の頭には、そんな義侠と正義の念が、火花みたいに突きぬけたが、十歩も跳ぶと、

「せ、先生っ」

道ばたに、苦悶していた人間が、彼の跫音に縋って、悲痛な声でさけんだ。

「やっ、小六?」

「……斬られた! ……や、斬られました……」