Classici giapponesi con furigana
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みやもとむさし
宮本武蔵(五)
吉川 英治
Leggi 宮本武蔵(五) (みやもとむさし) di 吉川 英治 (よしかわえいじ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 508.883 caratteri · 1017 schermate
二
「……ですが」
兵庫は、やや異議を抱くような口吻で、
「身寄りもなにもない、不愍な身の上と聞きました。ここを出ては、他に行く所もないのではございますまいか」
「そう思い遣りを懸けたひには限りがない」
「心だての好いものと――祖父様も仰せられていたそうで」
「気だてが悪いとは申さぬが――何せい若い男ばかりが多いこの邸に、美しい女がひとり立ち交じると、出入りの者の口もうるさいし、侍どもの気もみだれる」
「…………」
暗に自分へ意見しているのだ、とは兵庫は思わなかった。なぜなら、自分はまだ妻帯していないし、またお通に対しても、そう人に訊かれて恥じるような不純な気持は持っていないと信じているからだった。
むしろ、兵庫は、今の叔父のことばを、叔父自身が、自身へいっているように思われた。宗矩には格式のある権門から輿入している妻室があった。その妻室は、表方とはかけ離れていて、宗矩と琴瑟が和しているかいないかも分らないほど奥まった所に生活しているが――まだ若いし、そうした深窓にいる女性だけに――良人の身辺にお通のような女性が現われたことは、決して、よい眼で見ていないことは想像に難くないことであった。