Classici giapponesi con furigana
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みやもとむさし
宮本武蔵(五)
吉川 英治
Leggi 宮本武蔵(五) (みやもとむさし) di 吉川 英治 (よしかわえいじ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 508.883 caratteri · 1017 schermate
四
夫婦の者は、時ならぬ賓客を迎えたように、塵を掃き、炉ぶちを拭いて、薪を新たにくべ足した。
「何もございませぬが」
と、酒など燗ける様子に、
「もう、山の立場で、腹はできておる。かもうてくれるな」
「――でも、久しぶりに、山の夜語り、わたしの心づくしを喰べてくださいませ」
と、お甲は、炉の上に鍋などかけ、酒壺を取ってしきりにすすめる。
「伊吹山のふもとを思い出しますなあ」
外は、ごうごうと、峰の夜あらしであった。閉めきっても、炉の焔は、黒い天井へめらめらと背を伸ばす。
「もう、いうて下さいますな。……それよりも、朱実はその後、どうしたでしょうか。何か噂を聞きませんか」
「叡山から大津へ出る途中の山茶屋で、数日、わずらっていたそうですが、連れの又八の持物を奪って、逃げてしまったとその折ちょっと耳にしたが……」
「では、あの子も」
と、お甲は自分の身にひき較べて、さすがに、暗い面を伏せた。
四
お甲だけではない。祇園藤次もふかく恥じ入った様子で、今夜のことは、まったく出来心に他ならないといい、他日、世に出た時は、必ず元の祇園藤次になってお詫びするから、どうか今夜のところは、水に流して見のがしてくれという。