Classici giapponesi con furigana
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みやもとむさし
宮本武蔵(五)
吉川 英治
Leggi 宮本武蔵(五) (みやもとむさし) di 吉川 英治 (よしかわえいじ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
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三
そのお連れである近衛信尹というのは、光広よりは年も十ほどは上であろう。どこか重々しい風があり、眉も秀ているが、豊かに浅黒いその頬に薄あばたのあるのが世間並にいえば瑕である。
けれどその薄あばたなら、鎌倉一の男、源実朝ににもあったということだからこの人だけの瑕瑾ではない。殊にこの人が、前関白氏の長者という厳しい身分などをどこにも見せず、ただ余技の書道において聞えている近衛三藐院として、吉野太夫の側でにやにやしているところはかえってなかなか床しい薄あばたであった。
三
顔じゅうを笑靨にして、近衛信尹はその薄あばたを、吉野太夫の顔に向け、
「あの声は、紹由だの」
と、いった。
吉野の紅梅よりも濃い唇がおかしさを噛みこらえながら、
「あれ、ここへお見え遊ばしたら、どうしたらようございましょう」
困ったような眼元をする。
烏丸光広は、
「起つな」
と、吉野の裾を抑えて、次の間越しに、廊下の境へ、
「沢庵坊、沢庵坊、そんな所で何をしておらるるか。寒いぞ、そこを閉めて出るなら出ろ、はいるならはいれ」
と、わざといい放ってみる。
するとその沢庵が、
「まあ、はいれ」
と障子の外から紹由老人を引っぱり込み、光広と信尹の前へ来て、ぺたりと坐った。