Classici giapponesi con furigana
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みやもとむさし
宮本武蔵(五)
吉川 英治
Leggi 宮本武蔵(五) (みやもとむさし) di 吉川 英治 (よしかわえいじ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 508.883 caratteri · 1017 schermate
霧風
一
酸鼻とも残忍ともいいようがない。敵とはいえ、物の数ではない少年ではないか。
それを斃したからといって先の勢力が微塵も減殺されるわけでもない。いや、かえって吉岡一門の者を極度に怒らせ、全体の戦闘力を狂瀾のように激昂させるにはなによりも役立ったろう。
わけても源左老人は、哭くかのような形相を作り、
「――しゃあッ、よくもッ」
顔中から喚きを発し、老いの腕には少し重げに見える大刀を頭の上に振りかぶったまま、武蔵のからだへ打つかるような勢いで向って来た。
一尺ほど――武蔵の右足が退がったと思うと、その足につれ体も両手も右へ斜めになり、源次郎少年の首すじを通って返ったばかりの切ッ先がすぐ、
「かッ」
刎ねて――ぴゅん――とばかり源左老人の下りかけた肱と顔とを摺り上げた。
「ウウふっ」
誰の唸きとも分らない。
なぜならば武蔵の後ろから槍を突き出した者が、同時に前へよろめき出し、源左老人と折重なって朱となったし、なお眼を移す遑もなく、武蔵の正面にはすでにまた次にとびかかった四人目の者が――これはちょうど彼の重心点へ踏み出したとみえ、肋骨まで断ち割られて、首も手もだらんと下げたまま、二、三歩ほど生命のない胴を支えて足だけで歩いていたし――