Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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みやもとむさし

宮本武蔵(五)

吉川 英治

Leggi 宮本武蔵(五) (みやもとむさし) di 吉川 英治 (よしかわえいじ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 508.883 caratteri · 1017 schermate

Aozora Bunko

三

神さまの眼を恐れて、城太郎はそういいながら生唾をのんだ。

三

「いつも、城太さん、蜜柑は好きじゃないの?」

「好きだけれど」

「どうして、きょうは、喰べないの」

「どうしてでも」

「わたしが喰べないから?」

「え。……ああ」

「じゃあ、わたしも喰べるから……城太さんも、おあがり」

お通は、顔を仰向けに直して、細い指で、蜜柑のふくろの繊維を除っている。城太郎は、困った顔して、

「ほんとはね、お通さん、おいら、途中でもう、たくさん喰べて来たんだよ」

「……そう」

乾いている唇へ蜜柑の一ふさを含みながら、お通はうつつのようにいった。

「沢庵さんは?」

「きょうは、大徳寺へ行ったんだって」

「おととい、沢庵さんは、よその家で、武蔵様に会ったんですってね」

「アア。聞いた?」

「え。……その時、沢庵さんは、わたしがここにいることを、武蔵様へ話したかしら」

「話したろ、きっと」

「そのうちに、武蔵様をここへ呼んでやると、沢庵さんは、わたしにおっしゃったけれど、城太さんには、なんにもいっていなかった?」

「おいらには、なんにもそんなことはいわないよ」

「……忘れているのかしら」

「帰って来たら、そういってみようか」