Classici giapponesi con furigana
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みやもとむさし
宮本武蔵(五)
吉川 英治
Leggi 宮本武蔵(五) (みやもとむさし) di 吉川 英治 (よしかわえいじ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 508.883 caratteri · 1017 schermate
五
「畜生ッ」
「なにを」
「おらの嬶を返せ」
「生命しらずめ」
何か――土橋の上で始まった。土民と土匪との格闘だった。凄まじい呻き声や跫音が、そこでみだれ合う。
――と思うまに、伊織の前へ、朱にまみれた死骸が、一つまた一つ――と続けさまに蹴落されて来て、彼の顔へ、しぶきを浴びせかけた。
五
死骸は流れて行き、まだ息のある者は、水草につかまって、岸へ這い上がった。
橋杭に縛られて、眼のあたりにそれを見ていた伊織は、
「おらの縄を解いてくれ。おらの縄を解けば、敵を取ってやるぞ」
とさけんだ。
斬られた土民は、岸へは這い上がっても、水草の中に俯っ伏したままで動かなかった。
「おいっ、おらの縄を解かないか。村の者を助けるんだ。おらの縄を解け」
伊織の小さい魂は、その小さい身を忘れて大喝した。意気地ない土民を叱咤して、命令するようにいった。
昏倒した者は、まだそれでも気がつかなかった。そこで伊織は、もう一度、自分の力で自分の縄目を切ろうとするらしく、懸命にもがいてみたが、所詮、切れる筈はなかった。
「おいッ」
彼は、体を摺らして、伸びるだけ足を伸ばし、昏倒している負傷の肩を蹴った。