Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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みやもとむさし

宮本武蔵(五)

吉川 英治

Leggi 宮本武蔵(五) (みやもとむさし) di 吉川 英治 (よしかわえいじ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 508.883 caratteri · 1017 schermate

Aozora Bunko

五

伊織は、その刀を揮って、ひょろ長い一本の灌木をズバリと斬り、木の半身がばさっと草むらへ仆れると、自分も共に、へなへなと坐って、

「どうだ! 狐」

と、肩で息をついているのであった。

その容子が、いかにも、敵を斬って血ぶるいでもしているような体なので、兵庫は初めて頷きながら、お通を顧みて微笑した。

「かあいそうに、この童は、狐に憑かれているらしい」

「……ま、そういえば、あの恐い眼は」

「さながら狐だ」

「助けてやれないものでしょうか」

「狂人と馬鹿は癒らないが、こんなものはすぐ癒る」

兵庫は、伊織の前へ廻って、彼の顔をじいっと、睨めつけた。

くわっと、眼をつりあげた伊織はまた、刀を持ち直して、

「ち、畜生、まだいたかっ」

起ち上がろうとする出鼻を、兵庫の大喝が、彼の耳をつきぬいた。

「ええーいッ」

兵庫はいきなり、伊織の体を、横抱きにして駈け出した。そして坂を下ると、さっき渡った街道の橋がある。そこで、伊織の両脚を持って、橋の下から欄干の外へ吊り下げた。

「おっ母さあん!」

金切声で、伊織はさけんだ。

「お父さん!」

兵庫はまだ、離さずに、吊り下げていた。すると三声目は、泣き声で、