Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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みやもとむさし

宮本武蔵(五)

吉川 英治

Leggi 宮本武蔵(五) (みやもとむさし) di 吉川 英治 (よしかわえいじ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 508.883 caratteri · 1017 schermate

Aozora Bunko

九

「なるほど」

「なにがなるほど!」

「…………」

捜しに来た門人が、その話のすきを機と見て、

「御舎弟様、お兄上が、もいちど枕元へ来てくれと仰っしゃっておりますが」

後ろに手をつくと伝七郎はじろッと、その門人の顔を見て、

「――酒はどうした」

「あちらに運んでおきました」

「ここへ持って来い、皆で飲みながら話そう」

「若先生が」

「うるさい。……兄貴はすこし恐怖症にとッ憑かれているらしい。酒をこっちへ持って来い」

植田、御池、その他が口をそろえて、

「いやいや酒どころの場合ではない、吾々なら結構ですぞ」

伝七郎は、不機嫌に、

「なんだ貴様たちは。……貴様たちまで一人の武蔵に脅えているのか」

九

吉岡という存在が大きかっただけに、受けた打撃もまた大きかったのである。

武蔵から与えられた木剣の一撃は、当主の肉体をああしたばかりでなく、既成勢力の吉岡一門というものを、根底から不具にしてしまった形だった。

(よもや)

と、自尊しきっていた一門の気持がみな崩れ出して、その後始末にしても、以前のような一致は欠いている。

いちど受けた傷手の深刻な苦さが、錯然と、日が経っても皆の顔にただよっていて、なにを相談するにつけても敗者の傾きたがる消極か――また極端な積極へと走りたがってまとまらない。