Classici giapponesi con furigana
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みやもとむさし
宮本武蔵(五)
吉川 英治
Leggi 宮本武蔵(五) (みやもとむさし) di 吉川 英治 (よしかわえいじ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 508.883 caratteri · 1017 schermate
五
「叱……。うるせえぞ武」
「みろ、誦み手が、黙っちまったあ。聞きながらトロトロいい気持で聞いていたのに」
「よし、もう黙ってるから、先を謡えよ。もっと、節をつけて――」
五
――父にあらざれば生れず
母にあらざれば育せず
ここをもって
気を父の胤に稟け
形を母の胎内に托す
誦み手は、行儀わるく、仰向けの寝相をかえて、鼻くそをほじりながら――
この因縁を以ての故に
悲母の子を念うこと
世間に比いあることなく
その恩、未形に及べり
こんどは、余り皆、黙っているので誦む方が、張合いがなくなって、
「オイ聞いているのか」
「聞いてるよ」
始め胎を受けしより
十月をふるの間
行、住、坐、臥
もろもろの苦悩をうく
苦悩休む時なきが故に
常に好める飲食衣服を得るも
欲執の念を生ぜず
一心ただ安く生産せんことを思う
「くたびれた、もういいだろ」
「聞いてるのに、なぜやめるんだよ。もっと謡えよ」
月充ち日足りて
生産の時いたれば
業風ふきて是を促し
骨節ことごとく痛み苦しむ
父も心身おののき懼れ
母と子とを憂念し
諸親眷族みな苦悩す
すでに生れて草上に堕つれば
父母、欣び限りなく
猶、貧女の如意珠を得たるが如し
初めはふざけていた彼らも、次第に意味が酌めて来ると、聞くともなく聞き惚れていた。