Classici giapponesi con furigana
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みやもとむさし
宮本武蔵(五)
吉川 英治
Leggi 宮本武蔵(五) (みやもとむさし) di 吉川 英治 (よしかわえいじ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 508.883 caratteri · 1017 schermate
九
そこまで行く間が伝七郎にはもう待ちきれないものになっていた。やにわに、相手へ重圧を加えるような一喝を浴びせると、彼の体格に均り合っている長刀が、いかにも軽いもののように、びゅっ――と微かな鳴りを発して、武蔵のあった位置を正確に薙ぎ払っていた。
だが、力点の正確さが、敵を両断する正確さとはあながちいえない。対象のうごき方は、刀の速度よりも、もっと迅かった。――いやそれ以上に迅速だったのは、その敵の肋骨の下から噴いて出た白刃であった。
九
きらっと、二すじの刀が、宇宙に閃めいたのを見て後は、降る雪の地へ落ちてくるさまは如何にものろいものに見えた。
けれど、その速度にも、楽器の音階のように、徐、破、急があった。風が加われば急になり、地の雪を捲いて旋風になると、破を起す。そしてまた、白鵞の毛が舞うような静かな雪景色に返って降った。
「…………」
「…………」
武蔵と伝七郎との、ふたりの刀も、お互いの刀が鞘を走ったと見えたその一瞬には、もうどっちかの肉体は、到底無事ではあり得ないと考えられるところまで迫り合い、同時に二つの刀の動き方にも複雑な光があったように見えたが、それが、ぱっとふたりの踵が雪煙を揚げ、後方へ離れあうと――どちらの身もまだ健在であって、白雪の大地に、一滴しの血しおもこぼれていないことが、なんだかあり得