Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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みやもとむさし

宮本武蔵(五)

吉川 英治

Leggi 宮本武蔵(五) (みやもとむさし) di 吉川 英治 (よしかわえいじ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 508.883 caratteri · 1017 schermate

Aozora Bunko

道草ぎつね

一

道草ぎつね

一

「ここが木挽町か」

と、伊織は疑った。

そして途々、道を教えてくれた者に対して、

「こんな所に、お大名の家なんかあるものか」

と、腹を立てて独り思った。

彼は、河岸に積んである材木に腰かけて、火照った足の裏を、草でこすった。

材木の筏は、堀の中にも、水が見えないほど浮いていた。そこから二、三町先の端れはもう海で、闇の中に、潮の白い仄めきだけしか見えはしない。

それ以外は、渺とした草原と、近頃、埋めたばかりの広い土だった。もっとも其処此処と、ポチポチ灯りの影は見えるが、近づいて見ると、それは皆、木挽や石工の寝小屋だった。

水に近い所には、材木と石ばかりが、山をなしていた。考えてみると、江戸城も旺に修築しているし、市街にもどんどん家屋が建って行くので、町というほど、木挽の小屋が集まっているのも道理である。けれど、柳生但馬守ともある人の邸が、こんな職人小屋の部落と並んであるのは変だ――いやあるものじゃない――と伊織の幼い常識でも考えられるのであった。

「困ったな」

草には夜露がある。板みたいに硬くなった草履を脱いで、火照った足で草を弄っていると、その冷たさに、体の汗も乾いてきた。