Classici giapponesi con furigana
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みやもとむさし
宮本武蔵(五)
吉川 英治
Leggi 宮本武蔵(五) (みやもとむさし) di 吉川 英治 (よしかわえいじ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 508.883 caratteri · 1017 schermate
四
ね、なんという珍しいことでしょう。あの武蔵様が、わたしに手紙を下すったことなんか、これが初めてです。また待っているから来いなんて、優しいことを仰っしゃってくれたのも、これが初めてです。――それからこんな歓ばしいことは、私にとっても、生れて初めてではありませんか。……だから城太さん、機嫌を直して、私を瀬田まで連れて行ってください。……ね、後生だから、そんなに膨れていないで」
「…………」
「それとも、城太さんは、武蔵様にもうお目にかかりたくないの」
「…………」
城太郎は黙って例の木刀を横に差し、先刻作っておいた風呂敷づつみを斜めに背負い、ぽんと、庵の外へ飛び出して、まごまごしているお通へ剣突くを食わせた。
「行くなら行くで、早くお出でよっ! 愚図愚図してると、戸外から閉めてしまうぜ」
「まあ、怖い人」
それから二人は、志賀山越えの道を、夜にかけ歩き出したが、先に怒った手前がある、道は寂しいが、城太郎は口をきかない。
すたすたと、先を歩いて行きながら、そこらの木の葉をって、木の葉笛を吹いてみたり、俗歌を唄ってみたり、石を蹴ってみたり、なにか遣場のない気持を抱いているらしいので、お通がまた、