Classici giapponesi con furigana
ja-reading.com
Leggi i classici giapponesi online con furigana. Filtra per livello JLPT, tocca una parola per il significato e traduci una frase.
みやもとむさし
宮本武蔵(五)
吉川 英治
Leggi 宮本武蔵(五) (みやもとむさし) di 吉川 英治 (よしかわえいじ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 508.883 caratteri · 1017 schermate
七
「はてな」
歩むともなく、二人は三十三間堂の縁のほうへ、二十歩ほど近づいて行った。
すると、御堂の端のほうに見えた黒い人影も位置を移し、長い縁の中程あたりまで来ると、その足をぴたりと止めた。そして結びかけていた革襷の端を、左の袂のわきで、きびしく締めているような様子であった。その様子までを眼に受け取れる距離までは――何気なく進んで行った二人であったが、ぎくっと、足の方が先に雪の中から抜けなくなってしまった。
そして、ふた息か三息、間をおいてから、
「――あっ、武蔵!」
伝七郎が大きくいった。
七
互いに正視し合って、
武蔵!
と伝七郎が最初の声を発した途端から、こう二人の立場は、すでに武蔵の方が、絶対に有利な地を占めていることをこの場合見のがすことはできない。
なぜ、というまでもなかろうが、一応、二人の対立している地歩を見るならば、武蔵は自分の身を、敵よりも何尺か高い縁の上に置いている。反対に伝七郎は、敵から眼の下に睥睨されている地上にある。
それのみでなく、武蔵はまた絶対に背後が安全だった。三十三間堂の長い壁を背にしているのであるから、たとえ、左右の横から挟撃しようとする者があっても、縁の高さが自ら一つの防ぎをなしているし、後顧なく、一方の敵へ意力をそそぐことができる。