Classici giapponesi con furigana
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みやもとむさし
宮本武蔵(五)
吉川 英治
Leggi 宮本武蔵(五) (みやもとむさし) di 吉川 英治 (よしかわえいじ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 508.883 caratteri · 1017 schermate
四
曲が終ると、吉野は、
「ふつつかな技を」
と、微笑しながら、琵琶を置いて、元の席へもどって来た。
それを機に、みんな炉を立って、帰りかけた。武蔵はもちろん、空虚から救われたように、ほっとした顔つきで、誰よりも先に、土間へ降りていた。
吉野は、彼を除いた以外の客へは皆、いちいち帰りの挨拶を交わしたが、武蔵にだけは、なにもいわなかった。
そして、他の人々に従いて、武蔵も一緒にそこから戻ろうとすると、吉野は、彼の袂をそっととらえて、
「武蔵さま、貴方は、ここへお泊りなさいませ。なんとのう、今夜はお帰し申しとうございませぬ」
とささやいた。
四
武蔵は、処女のように、顔を赤らめた。聞えない振りを装っても、どぎまぎして、答えに困っている様子が、側の人達の眼にも見えた。
「……ね、よろしいのでございましょう。このお方を、お泊め申しても」
吉野は、紹由へ向って、今度はそう訊いた。紹由は、
「よいともよいとも。たんと、可愛がってやって下され。わしらが、無下に連れ戻る筋合いはない。のう光悦どの」
武蔵はあわてて、吉野の手を振り払い、
「いや、私も、帰ります。光悦どのとご一緒に」