Classici giapponesi con furigana
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みやもとむさし
宮本武蔵(五)
吉川 英治
Leggi 宮本武蔵(五) (みやもとむさし) di 吉川 英治 (よしかわえいじ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 508.883 caratteri · 1017 schermate
二
いや、そんな差別のあるうちはまだだめで、達人、名人の域にも遠い者といわなければなるまい。
合掌のうちに、武蔵がそんな閃きを胸に享けていると、
「なアるほど! よく見えらあ」
「お富士様が、このように拝める日は、すくのうござりますよ」
下から這い上がって来た四、五名の旅人たちが、手をかざして、ここの景観を称え合っていた。その町人たちの中にも、山を単なる山としている者と、神として仰ぐ者と、自らふたつあった。
二
瘤山の下の高原の道には、もう西と東から行き交う旅人の影が、蟻のように見下ろされる。
祠の裏へ廻って、武蔵は、その道を見張っていた。――やがて奈良井の大蔵と城太郎が、麓から登って来るにちがいない。
そしてもし此方で見つけ損ねても、先方があれを見落す気づかいはあるまい――と安心していた。
なぜならば、彼は入念に、この岩山の下の道ばたに、板切れを拾って、それへこう書いて目につく崖に立てかけて置いてあるからである。
奈良井の大蔵どの
御通過のみぎりは
お会い申したく、
上の小祠にて、お
待ち申しおり候
城太郎の師 武蔵
ところが、往来の多い朝の一刻を過ぎ、高原のうえに陽の高くなる頃まで待っても、似た人も通らないし、彼の立ててきた札を見て、下から声をかける者もない。