Classici giapponesi con furigana
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みやもとむさし
宮本武蔵(五)
吉川 英治
Leggi 宮本武蔵(五) (みやもとむさし) di 吉川 英治 (よしかわえいじ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 508.883 caratteri · 1017 schermate
三
「――なんだろう?」
「ただの犬の声じゃないが」
耳も目も奪われている形で、伝七郎が急いても、すぐ駕の側へ集まって来ない。
そこで伝七郎がまた、二度目の癇癖声を出して、早く駕をやれと呶鳴ると、初めてびっくりしたように、
「――御舎弟、ちょっとお待ちなさい。あれは何事でしょう?」
なにが何事なのか、いっこう他へ気もとめていない伝七郎へ、門人達はそう訊いた。
三
なにも事改まって、そう神経をつかうほどのことでもない。それは、何十匹か何百匹か知れないが、とにかく余程多いらしい犬の吠え合う声なのだ。
いくら沢山でも、犬の声は犬の声に止まる。一犬虚を伝えれば万犬――というくらい、あの仲間の騒ぎは余り当てにはならない。まして近頃は戦がなくて人肉に飢えているので、野から町へ移ったいわゆる野良犬が街道筋には群をなしていることが珍しくない。
「行ってみろ!」
しかるに、伝七郎はこういい、先に立って自分もそれへ足を早めて行った。彼が起つからには、犬の声もただの犬の声でなく、何かの理由があったのであろう。――つづく門人たちも、遅れじという足で駈けてゆく。
「――やっ?」
「――や?」