Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

ja-reading.com

Leggi i classici giapponesi online con furigana. Filtra per livello JLPT, tocca una parola per il significato e traduci una frase.

みやもとむさし

宮本武蔵(五)

吉川 英治

Leggi 宮本武蔵(五) (みやもとむさし) di 吉川 英治 (よしかわえいじ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 508.883 caratteri · 1017 schermate

Aozora Bunko

四

という一字だけが、うとうとと、頭の中に漂っていた。

四

朝立ちの客が物騒がしく土間から出てゆく。多くは博労たちだった。この四、五日立っていた馬市の総勘定も、きのうで片づいたとかで、ここの旅籠もきょうから閑散になるらしい。

伊織は、今朝、そこへ帰って来て、すたすたと二階へ上がりかけると、

「もしもし。子ども衆」

と、宿の内儀さんが、帳場からあわてて呼ぶ。

梯子段の中途から、伊織は、

「なんだい」

と、振向いて、お内儀さんの頭髪の禿をそこから見下ろす。

「どこへ行きなさるのかね」

「おらか?」

「ああさ」

「おらの先生が二階に泊ってるから、二階へ行くのに、ふしぎはあるまい」

「へえ……?」と、呆れ顔して、

「一体、おまえさんは、何日ここを出かけたんだえ」

「そうだなあ?」

指を繰って――

「おとといの前の日だろ」

「じゃ、先おとといじゃないか」

「そうそう」

「柳生様とかへ、お使いに行くといっていたが、今帰って来たのかえ」

「あ。そうだよ」

「そうだよもないものだ、柳生さまのお邸は江戸の内だよ」

「おばさんが、木挽町だなんて教えたから、とんだ廻り道をしちまったじゃないか。あそこは蔵屋敷で、住居は麻布村の日ヶ窪だぜ」