Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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みやもとむさし

宮本武蔵(五)

吉川 英治

Leggi 宮本武蔵(五) (みやもとむさし) di 吉川 英治 (よしかわえいじ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 508.883 caratteri · 1017 schermate

Aozora Bunko

五

「嘘だよ、嘘だよ。おまえの先生は、すぐ前の刀屋さんの中二階へ引っ越したのさ。そこにいるから、泣かずに行ってごらん」

今度は、ほんとのことを教えてやると、その言葉が終るや否、内儀さんのいる帳場の中へ、往来から馬の草鞋が飛びこんできた。

五

寝ている武蔵のすその方へ、伊織は畏る畏るかしこまって、

「ただ今」

と、いった。

彼を、ここへ通した耕介は、すぐ跫音をひそめて、母屋の奥の病室へかくれた様子――

どことなく、きょうのこの家は陰気だった。伊織にも、感じられる。

それに、武蔵の寝ているまわりには、木屑がいっぱい散らかっていて、燈しきって、油の渇いた燭台もまだ片づけてない。

「……ただ今」

叱られることが、何よりも彼の心配であった。で、大きな声が出ないのであった。

「……誰だ」

武蔵がいう。

眼をあいたのである。

「伊織でございます」

すると武蔵は、すぐ身を起した。そして足の先にかしこまっている伊織の無事をながめると、ほっとしたように、

「伊織か」

と、いったが、それきり何もいわなかった。

「遅くなりました」

それにも何もいわず、伊織がふたたび、

「すみません」

と、お辞儀しても、べつだん次の問いを発せず、帯を締め直して、