Classici giapponesi con furigana
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みやもとむさし
宮本武蔵(五)
吉川 英治
Leggi 宮本武蔵(五) (みやもとむさし) di 吉川 英治 (よしかわえいじ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 508.883 caratteri · 1017 schermate
四
「名もないのか。――名もない人間だと卑下するのか」
激越に突っかかって来るのを、又八は、綽々として、
「てめえのような、氏素姓の知れねえ奴に問われて名乗る名はない」
と、やり返す。
「だまれっ」
若衆の背中には、中身だけでも三尺もあろうかと思われる大刀が斜めに乗っていた。
肩越しにのぞいているその柄がしらとともに前髪はずっと前へ身をかがめて、
「そちとわしとの争いは後で決めよう。わしは、この樹の上にかくれている女を降ろし、この先の数珠屋の宿まで連れ戻るから、それまで待っておれ」
「ばかをいえ、そうはさせねえ」
「なんじゃと」
「この娘は、おれが以前女房にしていた女の娘。今でこそ縁はうすいが、難儀を見すてては通れない。おれをさし措いて、指でもさしてみろ、たたっ斬るぞ」
四
先刻の犬の群れではないが、威嚇したらすぐ尾をたれて逃げるだろうと思いのほか――
「おもしろい」
と、相手の前髪男は、又八の予期とはちがって、ひどく好戦的な物腰となり、
「見うけるところ汝も武士の端くれらしい。久しくそういう骨っぽい人間に出会わないので、背中の物干竿が夜泣きをしていた折でもある。この伝家の宝刀も、自分の手に渡ってからまだ血に飽かせたことがないし、すこし錆も来ているから、汝の骨で研いでやろう。