Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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みやもとむさし

宮本武蔵(五)

吉川 英治

Leggi 宮本武蔵(五) (みやもとむさし) di 吉川 英治 (よしかわえいじ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 508.883 caratteri · 1017 schermate

Aozora Bunko

二

「おやじ、おぬしも来ていたのか」

と紹由の首を抱えこみ、出合頭の酔っぱらい同士が、恋人のように汚い頬と頬とをこすり合い、

「達者か」

「達者じゃ」

「会いたかった」

「うれしい坊主め」

しまいには、ぽかぽか頭をたたいたり、一方がまた一方の鼻の頭を舐め出したり、何をやっているのか、酒飲みの気持は分らない。

今そこにいた沢庵が、次の部屋から出て行ったと思うと、廊下のあたりで、しきりと障子ががたがた鳴り、恋猫と恋猫とがじゃれているような鼻声が聞えるので、烏丸光広は、対い合っている近衛信尹と顔を見あわせ、

「ははあん、案の如く、うるさいのが、やって来たらしい」

そっと、苦笑をもらした。

光広はまだ若い、見るところ三十ぐらいな貴公子だった。裸にしても堂上人らしく白皙の美男であるから、実際の年はもっとよけいかも分らない。眉は濃く、唇は朱く、才気煥発なところが眸に出ている。

(武家ばかりが人間のような世の中に、なんで麿を公卿に生ましめたか)

というのがこの人の口癖であって、優しい容貌のうちに烈しい気性を蔵し、武家政治の時流に、鬱勃たる不平を抱いているらしかった。

(頭脳がよくて若い公卿で、今の世態に悩みを持たぬ奴は、馬鹿である)