Classici giapponesi con furigana
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みやもとむさし
宮本武蔵(五)
吉川 英治
Leggi 宮本武蔵(五) (みやもとむさし) di 吉川 英治 (よしかわえいじ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 508.883 caratteri · 1017 schermate
「逃げ隠れしたの、いや逃げ隠れはせんのと、もうここでの論議は止そう。そんな用事で参ったのではない。――それがしは今もいったが、吉岡門下の身内で十剣の一人太田黒兵助という者だが」
袂を払って内懐中へ両手を突っこみ、一通の書付を取り出すと、それを武蔵の眼さきへ突きつけた。
「御舎弟伝七郎どのから其許への手翰、たしかに渡し申すぞ。――ここで一読いたして、すぐ返辞を承りたい」
「ははあ……」
無造作に武蔵は披いて読み下してからすぐ、
「承知した」
と、一言で答えた。
だがまだ、太田黒兵助は、猜疑ぶかい眼の光を消さないで、
「確乎と?」
念を押して、武蔵の顔いろを糺すと、武蔵はさらにうなずいて、
「確乎と承知」
やっと三名は合点したらしく、
「異約あるにおいては、天下へ向って、嘲笑い申すぞ」
「…………」
武蔵は黙って、三名の硬ばっている体つきに眼を遊ばせていた。「笑而不答」で済ましているのであった。
その態度がまた太田黒兵助には怪しまれてきたものか、
「よろしいか、武蔵」
と、執こく――
「時刻とても、これから間のないことだぞ。場所は心得たか。支度はよいか」
と、釘を打つ。