Classici giapponesi con furigana
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みやもとむさし
宮本武蔵(五)
吉川 英治
Leggi 宮本武蔵(五) (みやもとむさし) di 吉川 英治 (よしかわえいじ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 508.883 caratteri · 1017 schermate
だが、その独りぎめに何も自信があるわけではないから、すぐ光悦へそれを示して、
「のう、いったい、その返しは、どういう量見じゃろう」
「やはりなにか、読めという意でございましょうな」
「何も書いてない白紙を、どう読みようもなかろうではないか」
「いえ、読めば読めないことはありません」
「では光悦どのは、これをどう読む?」
「――雪。……いちめんの白雪とは読めましょう」
「ム、ウム、雪か。いやなるほど」
「吉野の花をこちらへ移してほしいという手紙の返しですから、これは、眺めて酒を酌むならば、花ならずとも――という意味でしょう。つまり折からこよいは雪のながめにも恵まれているのだからそんなに多情を起さずに、障子でも開け放して、雪だけでまあ飲んでいるがよろしい――と、こういう返辞と私は思いますが」
「ヤ、小憎いことを」と、紹由はくやしがって、
「そんな寒い飲み方をしていられるものではない。先様がそう出てござれば、こちらも黙ってひっこんではおられぬ。なんとしてでも、吉野太夫は、こちらの座敷に植えてながめねば納まらぬぞ」
紹由老人は、躍起になって、唇の乾きを舐め始めた。光悦よりはずっともう年とっていてこのくらいだから、若い時分にはずんぶんトラになって人に世話をやかせたものだろうと思われる。