Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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みやもとむさし

宮本武蔵(五)

吉川 英治

Leggi 宮本武蔵(五) (みやもとむさし) di 吉川 英治 (よしかわえいじ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 508.883 caratteri · 1017 schermate

Aozora Bunko

伝七郎の背後はといえば、無限の空地と雪風であった。かりに相手方の武蔵には、助太刀は来ていないと承知していても、その広い背中の空地を、決して無関心でいるわけにはゆかなかった。

だが、倖いなことには、彼のそばには太田黒兵助がいた。

「退けっ、退いていろっ、兵助――」

こう、袖を払うように、伝七郎がいったのは、むしろ兵助が下手な手出しをしてくれるよりも、遠く離れて、一人と一人との絶対的なこの地域を、見守っていてくれた方が力に思われたに違いないのである。

「よいか」

これは、武蔵の言葉だった。

水をかぶせるような静かないいかただったのである。

伝七郎は、ひと目見るとともに武蔵の顔に対しても、その足の先までを、

(こいつか)

という憎念で見ずにいられなかった。肉親の意趣もある。巷の取沙汰に比較されている忌々しさもある。また地方出の駈出し剣客がという蔑みも頭へ先に入っている。

「だまれっ」

刎ね返すように出た語気は、彼としては自然だった。

「――よいかとは、何がよいかというぞ。武蔵! 戌の下刻は、もう過ぎておる」

「下刻の鐘と、きっちり、同時にとは約束していない」

「詭弁を吐くなっ。