Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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みやもとむさし

宮本武蔵(五)

吉川 英治

Leggi 宮本武蔵(五) (みやもとむさし) di 吉川 英治 (よしかわえいじ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 508.883 caratteri · 1017 schermate

Aozora Bunko

春を病む人

一

「たのもう。物もうす」

背まで泥濘の刎ねを上げている若い旅の禅坊主だった。

烏丸家の玄関に立ち、さっきから、大声でこう申し入れていたが、出て来る者がないので、雑掌部屋の外へ廻り、そこの窓から背伸びして覗いていると、

「なんだい? お坊さん」

後ろからいう少年があった。

禅坊主は振向いたが、

(お前こそ何者だ?)

と問いたげな眼をして、その奇態な風態の子供を見まもった。

烏丸光広卿の館の中に、どうしてこんな童がいるのか、その不調和に眼をみはったのであろう。禅坊主は変な顔したまま、じろじろと城太郎の姿ばかり見ていて物をいわないのである。

相変らず長い木剣を腰に横たえ、なにを入れているのか、懐中を大きく膨らませて、その上を城太郎は手で抑えながら、

「お坊さん、お施米をもらうなら台所の方へ廻らなければだめだよ。裏門を知らないのかい」

と、いった。

「お施米。――そんな物をいただきに来たのじゃない」

若い禅坊主は、自分の胸にかけている文筥を眼で示し、

「わしは、泉州の南宗寺の者だが、このお館へ来ている宗彭沢庵どのへ、急な御書面をお届けするために出て来たのだ。おまえは、お台所へ出入りの小僧か」