Classici giapponesi con furigana
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みやもとむさし
宮本武蔵(五)
吉川 英治
Leggi 宮本武蔵(五) (みやもとむさし) di 吉川 英治 (よしかわえいじ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 508.883 caratteri · 1017 schermate
また、その辺りの地を相して、高い樹の上に、半弓を負ってスルスルと登って行った影法師もある。
鉄砲を持った男は、下り松の梢によじ登り、月明りを気にしながら、自分の影をかくすのに苦心をしていた。
枯れ松葉や木の皮が、ぱらぱらこぼれて来た。下に立っていた飾り人形のような源次郎少年は、襟くびへ手をやりながら身ぶるいをした。
見咎めた源左老人が、
「なんじゃ、顫えているのか。臆病者めが」
「背中へ松葉がはいったんです。なんにも怖くなどありません」
「それならよいが、おぬしにもよい経験というものだ。やがて斬合が始まるから、よく見ておくのだぞ」
すると、三方道のいちばん東にあたる修学院道の方で、突然、
(馬鹿ッ!)
と、大きな声が聞え、ざざざッ――とその辺の藪が鳴り騒いだ。
潜んでいた人間のうごきが方々でいるところを明らかにした。飾り人形の源次郎は、
「恐いッ」
と、口走って、源左老人の腰へしがみついた。
「来たのだ!」
御池十郎左衛門はすぐ気配の立ったほうへ向って駈け出した。――しかし駈けてゆくうちに、変だな? という気持がした。
案の定、待ち設けていた敵ではなかったのである。