Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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みやもとむさし

宮本武蔵(五)

吉川 英治

Leggi 宮本武蔵(五) (みやもとむさし) di 吉川 英治 (よしかわえいじ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 508.883 caratteri · 1017 schermate

Aozora Bunko

導母の杖

一

折角なので、茶を一喫するとすぐ武蔵はそこを出て、先へと急いだ。

明るいうちにはもう難かしいかも知れないが、夜を通して、洗馬から塩尻の宿場を過ぎ、今夜のうちに、峠まで登って待ちかまえていれば、その間に、二刻の道程は追い越し、やがて夜明けと共に、後から奈良井の大蔵と城太郎が通りかかるにきまっている。

「そうだ。先へ越えて、彼処で待てば――」

贄川、洗馬も過ぎて、麓の宿場までかかると、すでに陽はかげって、夕煙の這う往来に、軒ごとの燈火が、春の晩ながら、なんともいえない山国の佗しさを瞬いている。

そこから塩尻峠の頂までは、なお二里以上はある。武蔵は、息もつかず登りつめた。そしてまだそう更けぬうちに、いの字ヶ原の高原に立ち、ほっと息をつきながら、身を星の中に置いて、しばらく恍惚となっていた。

導母の杖

一

武蔵はふかく眠った。

今、彼の眠っている小さい祠の廂には、浅間神社という額が見える。

そこは高原の一部から、瘤のように盛り上がっている岩山の上で、この塩尻峠では、さし当って、ここより高い所は見当らない。

「おおうい。登って来いよ。富士山が見えるで」

ふいに耳元で人声がしたので、祠の縁に手枕で寝ていた武蔵は、むっくりと起きあがって、いきなり眩い暁雲に眼を射られたが、人影は見えないで、はるか彼方の雲の海に、真っ赤な富士のす