Classici giapponesi con furigana
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みやもとむさし
宮本武蔵(五)
吉川 英治
Leggi 宮本武蔵(五) (みやもとむさし) di 吉川 英治 (よしかわえいじ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 508.883 caratteri · 1017 schermate
閑居している佗び牢人に、そんな生活費のいるはずはない。しかし、幸村の手から、その金銀はまた、零細な幾千人の生活費になってゆくのである。そこには、戦のある日まで、遊んで暮している沢山な人間が町に隠れていることはいうまでもない。
一乗寺下り松のうわさから、後を追いかけて来た伊達家の臣下が、すぐ武蔵の人物に、食指をうごかしたことは当然すぎる。――既にこの金が、明らかに、外記の底意を証拠だてていると見て間違いはない。
――困った金である。
費えば恩を買う。
なければ?
(そうだ、金を見たから、惑うのではないか。なければ、ないでもすむものを)
武蔵はそう思って、足もとに落ちている金を拾い集め、元通りに武者修行袋へつつみこんで、
「――では亭主。これを飯の代に、取っておいてくれい」
自分の手すさびに彫った木彫の観世音をそこへ出すと、茶店の老爺は、今度は甚だしく不平顔で、
「いけませんよ旦那、これやあ、お断りしますべ」
と、手を出さない。
武蔵がなぜ? というと、
「なぜって、旦那は今、持合せが一文もねえと仰っしゃるから、観音様でもいいといったのじゃが……見ればないどころか、持て余している程、お金を持ってござらっしゃるではねえか。