Classici giapponesi con furigana
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みやもとむさし
宮本武蔵(五)
吉川 英治
Leggi 宮本武蔵(五) (みやもとむさし) di 吉川 英治 (よしかわえいじ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 508.883 caratteri · 1017 schermate
先刻、誰も見ていないと思って、四つ脚の真似をして恥じたあの心理の延長が、まだ又八の心を占めていた。
だから朱実が、いくら樹の上から彼に向って、
(酷い目に遭うといけない)
と教えても、
(はやく、隠れておしまいなさい!)
と危険を予報しても、そういわれればいわれるほど、彼は自分も男であることを我に持ってしまって、
(それは大変)
と、急にあわてふためいて、そこらの暗がりへお尻を出して潜りこむような醜状を、いくら愛人でないからといって、そうたやすく彼女の眼の下に見せることは出来なかった。
「――あっ? 誰だっ」
こういったのは、もうそこへ迅い跫音を弾ませて来た男でもあったし、また、それに驚いて跳び退いた又八の異口同音の声でもあった。
朱実の心配していた恐い男なる者が、ついに、ここへ来てしまったのである。又八の提げていた抜刀には、犬の血が垂れていた。それを見たので、ここへ来た男は、又八の前へ立った途端から、又八をただ者でないように睨まえて、
「――誰だっ、汝は」
と、もう一声、頭から浴びせてかかった。
「…………」
朱実の恐がり方が大げさであったので、又八も一応はどきっとしたが、相手の影をよく見直すと、背こそ高くて逞しそうな骨格であるが、年齢は自分と大差のない若さだし、髪は前髪に結い、着物は派手な若衆小袖を着ていて――