Classici giapponesi con furigana
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みやもとむさし
宮本武蔵(五)
吉川 英治
Leggi 宮本武蔵(五) (みやもとむさし) di 吉川 英治 (よしかわえいじ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 508.883 caratteri · 1017 schermate
五
「先生、隠したってもうだめですぜ」
「なぜ」
「初めて来たと仰っしゃいましたが、今、はいった楼の遊女の中で、先生の姿を見ると、声を出して屏風の陰へ、顔をかくした女があった。もう泥を吐いておしまいなせえ」
菰もお稚児も、そういうが、小次郎には覚えがなかった。
「はてな。どんな女が……?」
「空恍ぼけたって、もういけません。登楼りましょう、今の楼へ」
「まったく、初めてだが」
「登楼ってみれば分るこってさ」
今出て来たばかりの暖簾の内へ、二人はもう引っ返している。大きな三ツ柏の紋を三つに割って、端に、角屋としてある暖簾であった。
柱も廊下も、寺のように大まかな建築だが、まだ縁の下には枯れない葭が埋まっているのである。なんの煤みもなければ床しさもない。家具も襖も、すべてが目に痛いほど新しかった。
三人が通ったのは、往来に向いた二階の広座敷であったが、前の客の残肴やら鼻紙などが、まだ掃きもせず散らかっている。
下働きの女たちは、まるで女の労働者のように、ぶっきら棒にそれを片づける。お直という年寄が来て、毎晩、寝る間もない忙しさで、こんなことが三年も続いたなら死ぬかも知れませんという。