Classici giapponesi con furigana
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みやもとむさし
宮本武蔵(五)
吉川 英治
Leggi 宮本武蔵(五) (みやもとむさし) di 吉川 英治 (よしかわえいじ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 508.883 caratteri · 1017 schermate
「オオいえ」
「だが、驚くな」
「ばかな!」
「わしは、岸柳佐々木小次郎だが」
「えッ……?」
「祖先以来、岩国の住、姓は佐々木といい、名は小次郎と親からもらい、また剣名を岸柳ともよぶ人間はかくいう私であるが――はて、いつのまに、佐々木小次郎が世間に二つできたのだろうか」
「……や? ……じゃあ? ……」
「世間を歩くうちには、ずいぶん様々な人物にも巡り会うが、まだかつて、佐々木小次郎という人間に出会ったのは、この佐々木小次郎、生れて初めてだ」
「…………」
「実に、ふしぎなご縁、初めてお目にかかったが、さては、貴殿が佐々木小次郎どのか」
「…………」
「どうなすった、急に、ふるえておいでなさるようだが」
「…………」
「仲良くしよう」
小次郎は、寄って来た。そして、立ち竦んだまま青ざめている又八の肩をぽんとたたくと、又八はぶるっと体をふるわして、
「――あッ!」
と、大きな声でいった。
次の声は、小次郎の口から出たもので、まるで槍を吐くように彼の影を衝いてくる。
「逃げると、斬るぞッ」
――一跳びに、二間もあいだが開いたように見えたが、その又八の逃げて行く影へ、例の物干竿の長刀が、小次郎の肩越しから閃いて、びゅっと、銀蛇を闇に描くと、もうそれを小次郎は、ふた太刀とは使わなかった。