Classici giapponesi con furigana
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みやもとむさし
宮本武蔵(五)
吉川 英治
Leggi 宮本武蔵(五) (みやもとむさし) di 吉川 英治 (よしかわえいじ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 508.883 caratteri · 1017 schermate
五
この子も孤独。われも孤独。
余りの伊織の泣き声に、草木も心あるもののように、蕭々と、冷たい風に、黄昏近い曠野は晦く戦ぎはじめた。
ポツ、ポツ、とほんとの雨もこぼれて来て――。
五
「……降って来た。ひと暴れ来そうだぞ。伊織、はやく来い」
鍬や鋤の道具をまとめて、武蔵は小屋の方へ駈け出した。
小屋の中へ飛びこんだ時は、雨はもう真っ白に、天地を一色に降りくだいていた。
「伊織、伊織」
後から尾いて来たものとばかり思っていたところ、見ると彼の姿は、側にもいない、軒端にも見えない。
窓から眺めやると、凄まじい雷光が、雲を斬り、野面をはためき、それに眼をふさぐ瞬間――思わず手は耳へ行って、五体に雷神のひびきを聞くのであった。
「…………」
竹窓のしぶきに顔を濡らしながら、武蔵は恍惚と、見とれていた。
こういう豪雨を見るたびに、風のすさぶ度に、武蔵は、もう十年近い昔になる――七宝寺の千年杉を思い出す、宗彭沢庵の声を思い出す。
まったく自分の今日あるのは、あの大樹の恩だと思う。
その自分が、今は、たとえ幼い童子にせよ、伊織という一弟子を持っている。自分に果たして、あの大樹のような無量広大な力があるか、沢庵坊のような肚があるか。