Classici giapponesi con furigana
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みやもとむさし
宮本武蔵(五)
吉川 英治
Leggi 宮本武蔵(五) (みやもとむさし) di 吉川 英治 (よしかわえいじ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
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四
自然の下には、武蔵も、じっと沈吟しているしかない。
「先生、もう行けるぜ」
伊織は太陽の下へ出て、今朝から呶鳴っている。
二十日ぶりで、二人は道具を担いで、耕地へ出て行った。
そしてそこに立つと、
「あっ……?」
と、ふたりとも茫然としてしまった。
二人が孜々として開拓しかけた面積などは、なんの跡形も残していない。大きな石ころと、一面の砂利であった。前にはなかった河が幾筋もできて小さな人力を嗤うが如く、奔々と、その大石や小石を弄んでいた。
――阿呆。狂人。
土民たちが嘲った声も思い出される。思い知ったのである。
手の下しようもなく、黙然と立っている武蔵を見上げて、伊織は、
「先生、ここはだめだ。こんな所は捨てて、もっと他のよい土地を探そう」
と、策を述べる。
武蔵はそれを容れない。
「いやこの水を、他へ引けば、ここは立派な畑になる。初めから地理を按じて、ここと決めてかかったからには――」
「でもまた、大雨が降ったら」
「こんどは、それが来ないように、この石で、あの丘から堤をつなぐ」
「たいへんだなあ」
「元よりここは道場だ。ここに麦の穂を見ぬうちは、尺地も退かぬぞ」