Classici giapponesi con furigana
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みやもとむさし
宮本武蔵(五)
吉川 英治
Leggi 宮本武蔵(五) (みやもとむさし) di 吉川 英治 (よしかわえいじ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 508.883 caratteri · 1017 schermate
六
(その時にはまた、自分が御周旋申しあげてもよい)
と、追伸してある。
「…………」
武蔵は、ほほ笑みながら、長い巻紙をゆるゆる巻き納めた。
彼の微笑を見ると、伊織はよけい安心した。その安心をしたところで、窮屈な脚を伸ばして、
「先生、柳生さまのお邸は、木挽町じゃないぜ。麻布の日ヶ窪ってとこさ、とても大きくて、立派な家だよ。そしてね、木村助九郎様が、いろんな物を、ご馳走してくれた」
狎れて、話し出すと、
「伊織」
武蔵の眉が、すこし難しく変っている。その気色に、伊織はあわててまた、足を引っ込めて、
「はい」
と改まる。
「道を間違えたにせよ、きょうは三日目、あまり遅過ぎるではないか。どうしてこんなに遅く帰って来たか」
「麻布の山で、狐に化かされてしまったんです」
「狐に」
「はい」
「野原の一軒家に育って来たおまえが、どうして狐になど化かされたのか」
「わかりません。……けれど半日と一晩中、狐に化かされて、後で考えても、何処を歩いたのか、思い出せないんです」
「ふーム……。おかしいな」
「まったく、おかしゅうございます。今まで狐なんか、何でもないと思っていましたが、田舎より江戸の狐のほうが、人間を化かしますね」