Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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みやもとむさし

宮本武蔵(五)

吉川 英治

Leggi 宮本武蔵(五) (みやもとむさし) di 吉川 英治 (よしかわえいじ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 508.883 caratteri · 1017 schermate

Aozora Bunko

――いや、父に対してすら、従順には聞いていたが、心の裡では、

(私とても、そうお父上が見縊るほどな未熟ではございません)

と、呟いた程だった。

一年、時には二年、三年と、余五郎も許された暇のあるたびに、武者修行にも歩いたり、他家へ兵学の内弟子となったり、時には、禅家へも通ったり、一通りな鍛錬は積んで来たつもりなのである。――それを父はいつまでも乳くさいように自分を視ている。そしてたまたま窓越しに見た武蔵のような若輩者を、おそろしく過賞し、

(すこし貴様も見ならえ)

と、いわないばかりな口吻であった。

「――戻ろう」

と、決めて、家のほうへ帰りながら、余五郎はふと淋しかった。

「親という者は、いつまでも子が乳くさく見えてならないのだろうな」

いつかはその父に、お前もそんなになったかといわれてみたい。しかし、その父は明日も知れない病身である。それが淋しかった。

「おう、余五郎どの。――余五郎どのじゃないか」

呼びかける声に、

「やあ、これは」

と、余五郎も踵を回して、双方から近づいて行った。

細川家の家士で、近頃はあまり見えないが、一頃はよく講義を聞きに来ていた中戸川範太夫であった。