Classici giapponesi con furigana
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みやもとむさし
宮本武蔵(五)
吉川 英治
Leggi 宮本武蔵(五) (みやもとむさし) di 吉川 英治 (よしかわえいじ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 508.883 caratteri · 1017 schermate
「お通さあ、御飯時やが、もう運んでもようござりますかの」
畑の向うで、台所の女が、こっちへ呶鳴っていた。
お通は、考えごとから醒めて、
「アア御飯ですか。――御飯ならば、お婆様が帰って来てから一緒に食べますから後にして下さい」
すると、台所の女はまた、
「ご隠居さあは、きょうは帰りがおそうなるといって出やはりましたがの。おおかた晩方までのおつもりで出やはったのでございましょうが」
「じゃあ私も、あまりお腹がすいておりませんから、おひるはやめておきましょう」
「あんた、ちっとも物を召上がらんで、ようそうしておいでなはるなあ」
どこからともなく、松薪のいぶる濃い煙が流れて来て、畑の中の梅の樹も、向うの母屋も隠してしまう。
この辺には、陶器つくりの竈が所々にあるので、そこで火入れをする日には絶えず煙が近所をいぶしている。けれど、その煙が去った後は、春先の空がよけいに美麗に見られた。
馬のいななきや清水の参詣人の跫音が、往来の方に騒々と聞える。そういう町の騒音の中から、武蔵が吉岡を打ったという噂も聞いた。
お通は、飛び立つように思い、そして武蔵のすがたを瞼に描いた。