Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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みやもとむさし

宮本武蔵(五)

吉川 英治

Leggi 宮本武蔵(五) (みやもとむさし) di 吉川 英治 (よしかわえいじ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 508.883 caratteri · 1017 schermate

Aozora Bunko

(よもや、武蔵様に限って……)

とお通は、自分の妬みが描く臆測を、みな打消してはみるが、やはりあれからの日は、そのために、ともすると今までは知らなかった複雑な傷みを、自分の心に見出すことが多かった。

――自分より美しい女。

――自分よりあの人に近づく機会の多い女。

――自分より才気があって男性のこころを巧みにつかむ女。

今までは、武蔵と自分としか考えていなかったが、お通は急に、同性の世界をながめて、自分の無力がかなしくなった。

――美しいなんて思えない。

――才もない。

――機縁にもめぐまれない。

こういう自分を、ひろい社会の多数の女性に見較べると、彼女は自分の希望が、余りに自分の身に過ぎていて、なにか大それた夢かのように思えてしまうのだった。――ずっと以前、七宝寺の千年杉へよじ登って行ったころの、あの暴風雨よりもつよい勇気は出ないで、五条大橋の朝、牛車の蔭に、しゃがみ込んでしまった時のような弱さばかりが、妙にこのごろの心には棲む。

(城太さんの手がほしい!)

痛切に、お通はそう思った。そしてまた、

(暴風雨の中を、あの千年杉の上へよじ登っていたころの自分には、まだ城太さんのような無邪気さが幾らかあったからだろう)