Classici giapponesi con furigana
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みやもとむさし
宮本武蔵(五)
吉川 英治
Leggi 宮本武蔵(五) (みやもとむさし) di 吉川 英治 (よしかわえいじ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 508.883 caratteri · 1017 schermate
「又八っ、はよう斬れ。――それ、お通めが倒れくさったぞ」
婆に叱咤されて、今は完全に刃物に躍らされている人間の又八は、豹のように前へ跳んで、
「――畜生っ」
と、萱の枯れ穂や灌木の間へ転びこんだお通を目がけて、刀を振りおろした。
木の枝の折れる響きがしたと思うと、その下から――きゃっと、生きたものの絶命と血しおが刎ねあがった。
「この阿女、この阿女」
三太刀、四太刀、まるで血に酔ったように眼をつりあげた又八は、灌木の枝や萱の穂もろとも、刀も折れよとばかり、幾度もそこを撲りつづけた。
「…………」
撲りくたびれると、又八は血刀をさげたまま、茫然と、血の酔いから醒めかけた。
――掌を見ると掌にも血。――顔を撫でると顔にも血。温い、粘りのある液体が、燐のように体じゅうへ刎ねているのである。
その一滴一滴が、お通の生命の分解されたものかと思うと、彼はふらふらと眩いを感じ、見る間に、顔が青ざめてきた。
「……ふ、ふ、ふ。……伜よ、とうとう斬りおったのう」
お杉婆は、茫然としている息子の後ろから、そっと顔を突き出して、滅茶滅茶に薙ぎ伏せられている灌木と草むらの底をじっと見入った。