Classici giapponesi con furigana
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みやもとむさし
宮本武蔵(五)
吉川 英治
Leggi 宮本武蔵(五) (みやもとむさし) di 吉川 英治 (よしかわえいじ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 508.883 caratteri · 1017 schermate
何千坪かの雪の地域には、雑草や根笹の凸凹も見えず、きれいに淡雪が積っている。ところどころに、松の樹はあるが、それも密生した林ではなく、極めて疎らに、この寺院の風致を添えている程度なのである。
「――やあ」
先に来て、そこで火を焚いて待っていた門人が、伝七郎を迎えるとすぐ火のそばから立って、
「お寒かったでございましょう。まだ時刻はよほどあります。十分、お体を暖めて、御用意にかかっても遅くはありません」
御池十郎左衛門と、植田良平のふたりだった。
良平の腰かけていたあとへ、伝七郎はだまって腰をおろした。支度はもう祇園神社のまえですっかり済まして来たのである。伝七郎は、焚火の焔に手をかざして、両手の指の節を、一本一本ぽきぽきと鳴らしながら揉んでいた。
「――ちと早すぎたかな」
煙に顔をいぶしながら、もうそろそろ殺気を帯びて来ている顔を顰め、
「いま来た途中に、腰かけ茶屋があったなあ」
「この雪で、もう戸を閉めておりましたが」
「たたき起せば起きるだろう。――誰かそこへ行って、酒を提げて来ないか」
「え、酒をですか」
「そうだ、酒がなくっちゃあ……とても寒いわ」
伝七郎はそういって、火を抱くようにかがみ込んだ。