Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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みやもとむさし

宮本武蔵(五)

吉川 英治

Leggi 宮本武蔵(五) (みやもとむさし) di 吉川 英治 (よしかわえいじ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 508.883 caratteri · 1017 schermate

Aozora Bunko

――そして、彼のことばを聞くとすぐ、

「来たか」

と、おうむ返しにいって、その足が無意識のように、燃え残りの焚火を踏みにじっていた。

「――六条柳町の編笠茶屋を出てから、雪がふるのに、武蔵め、牛のようにのそのそ歩いておりましたが、たった今、祇園神社の石垣をのぼって境内へはいりました。――拙者は、廻り道してここへ来ましたが、あののろい足つきでも、もう姿を見せるはずです、御用意を!」

「よしッ。……兵助」

「は」

「彼方へ行っておれ」

「皆は」

「知らん。その辺にいては、眼ざわりだ、立ち去れ」

「はッ……」

といったが、兵助は、そこをはずして去る気にはなれなかった。伝七郎の足が、雪泥の中へ、火をすっかり踏みつぶし、武者ぶるいしながら廂の下から出て行くのを見届けると、彼は反対に、御堂の床下へもぐって、闇の中に屈み込んでいた。

床下にいると、外にはないと思っていた風が冷々と動いていた。太田黒兵助は、自分の膝を抱えこんだまま、骨まで冷えてゆく体がわかった。ガチガチと奥歯が鳴るのをどうしようもなかった。それは寒さのせいであると、自分の観念を強いてうなずかせながら、時々、尿でもつかえたように、腰の下から顔の先までぶるぶると身ぶるいを走らせていた。