Classici giapponesi con furigana
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みやもとむさし
宮本武蔵(五)
吉川 英治
Leggi 宮本武蔵(五) (みやもとむさし) di 吉川 英治 (よしかわえいじ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 508.883 caratteri · 1017 schermate
床下から出て、彼方に立っている伝七郎へ何か呼びかけた。
「兵助、まだいたのか」
伝七郎も同じ気もちでこう声を返した。どっちからともなく二人は接近していた。そしてすべてがただ真っ白な雪の夜を見廻して、
「……見えぬ!」
と、呻きに似た不審りを繰返していた。
「彼奴、逃げ失せたな」
伝七郎がつぶやくと、
「いや、そんなはずは……」
太田黒兵助はすぐ打消した。そして極力、自分の確かめて来たところをもって、自分で保証づけるように喋舌っていると――
「や?」
聞いている伝七郎の眼が急に横へ反れた。
――見ると、蓮華王院の庫裡のほうに、ポチと手燭の灯が揺らぎ出している。灯を持って来るのは一人の僧で、後から誰やら尾いてくる人影もわかる。
その二つの人影と、一点の小さな灯は、やがて、境の扉を開けて、三十三間堂の永い縁の端へ立つと、こう低い声で話していた。
「――夜分は、どこもかしこも、閉め切っておりますので、よう存じませぬが、たしか宵の頃、この辺りで、暖を取っていたお武家方がございましたから、それが、あなたの尋ねているお方達かもわかりませんが、もう、誰もいないようでございますな」