Classici giapponesi con furigana
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みやもとむさし
宮本武蔵(五)
吉川 英治
Leggi 宮本武蔵(五) (みやもとむさし) di 吉川 英治 (よしかわえいじ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 508.883 caratteri · 1017 schermate
血しおをそっと拭き除ってやっていた時に、すべてを、察知していたらしかった。
「ほかのお方はともかく、武蔵様だけは、迂かつに遊廓の外へ出られませぬぞ」
と、探って来たその男は、息を弾ませて、吉野太夫へも、他の人々へも、目撃して来た事実を、多少誇張しているのではないかと思われるくらいな口吻で告げるのであった。
「――もうこの遊廓の門は、一方口しか開いておりません。その総門を挟んで、編笠茶屋の辺にもあれから柳並木の物蔭にも、すごい身仕度をしたお武家たちが、眼を光らせ、あっちこっちに五人、十人ぐらいずつ、黒々とかたまって立っています。……それがみんな四条の吉岡道場の門人だといって、あの近所の酒屋でも商人家でも、今になにが起るのかと、戸をおろして顫えているんで。……いや、もう大変なことですよ、なんでも遊廓から馬場の方にかけて、百名ぐらいは来ているだろうといううわさですぜ」
そう報告する男が、がちがちと奥歯を顫わせていうことであるから、話し半分として聞いても、事態の容易でないことは争えなかった。
「ご苦労だった。もうよいからお休み」
その男を退けると、吉野はまた武蔵へいった。